ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンが、人間の思考の二つのシステムを解明した書。「システム1」は速く・直感的・自動的。「システム2」は遅く・論理的・努力を要する。経営者が「この投資はなんとなくよさそう」と判断するとき、システム1が働いている。
AIが普及するいま、この本は「自分の判断がどこで歪んでいるか」を知るための基礎書として、かつてなく重要になっている。AIの出力を見て「そうだな」と感じるときも、システム1が働いている可能性がある。確証バイアス、損失回避、アンカリングが、AI時代の経営判断でも同じように働く。
ハーバード大学ケネディスクールのハイフェッツとリンスキーが提唱する「適応型リーダーシップ」の実践書。技術的問題(既存の知識と手順で解ける問題)と適応課題(価値観・信念・行動の変化を要する問題)を分けることが鍵だという。
AI導入は、多くの場合「適応課題」だ。新しいソフトウェアを入れれば解決するという技術的問題ではなく、経営者の判断の仕方、社員の仕事の定義、評価の基準といった価値観の変化を求める。技術的問題のように扱うと、導入後に組織が「元に戻る」現象が起きる。
「イノベーションのジレンマ」で知られるクリステンセンが晩年に提唱した「Jobs to Be Done(JTBD)理論」の集大成。顧客が製品・サービスを買うのは、「特定の状況(Progress)を達成するために雇用する」からだという考え方。顧客が本当に欲しいのは「製品」ではなく「片づけたい用事(ジョブ)」だ。
中小企業経営者が「うちの強みは品質と納期だ」と言うとき、その強みが顧客の本当のジョブを解決しているかどうかが問われる。AI時代に意思決定の速度が上がっても、顧客のジョブの理解なしには価値は届かない。
AIが意思決定を補助し、組織が再設計され、経営者が問いを設計するようになった後に、会社は何を価値として顧客へ届けるのか。Vol.05(2026年8月発行予定)では、顧客価値と事業モデルの再設計を扱います。ジョブ理論を実践に落とし込む事例、AI時代の新しい価値提案の構造、中小企業が差別化できる領域を探ります。
本書評に掲載の3冊はいずれも実在する日本語翻訳版です。ISBN・出版社・訳者名は各出版社の公式情報をもとに記載しました。入手状況は書店・図書館でご確認ください。AI出力を根拠情報として使用していません。