AIに「いい感じに書いて」と頼むと、AIはそれらしい文章を返す。しかし、仕事で使う文章は「それらしい」だけでは足りない。文字数、形式、口調、対象読者が合っていなければ、結局人間が大きく直すことになる。
01制約はなぜ精度を上げるのか
制約とは、AIに対する条件である。「300字以内」「箇条書き」「丁寧だが硬すぎない」「AI初心者の社長向け」のように、出力の形を先に決める。
AI初心者ほど、制約を入れるとAIの自由がなくなると考えがちだ。しかし実務では逆である。制約があるほど、AIは何を優先すべきか判断しやすくなり、人間も確認しやすくなる。
024つの制約軸
4つ目は対象読者である。同じ内容でも、専門家向けとAI初心者向けでは説明の順番が違う。中小企業経営者向けなら、専門用語を先に出すより、業務の例から入る方が伝わりやすい。
03制約しすぎると創造性が死ぬ
制約は多ければよいわけではない。「300字以内、5項目、すべて20字以内、敬語、比喩禁止、専門用語禁止、結論から、読み手は60代経営者」のように詰め込みすぎると、AIは不自然な文章を作りやすい。
実務では、絶対条件と希望条件を分けるとよい。絶対条件は、文字数、禁止事項、対象読者。希望条件は、雰囲気、表現の柔らかさ、見出し案などである。
04ビジネス文書の例
次の文章を、取引先へのメールとして整えてください。条件は、300字以内、丁寧だが過度にへりくだらない、納期は断定せず「確認中」とする、最後に担当者から再連絡する一文を入れる、です。
この例では、文章の目的、文字数、口調、言ってはいけないこと、最後に入れる内容が決まっている。AIは自由に書いているように見えて、実際には仕事で使う枠の中で書いている。
05顧客対応の例
顧客対応では、制約が特に重要である。AIは親切に答えようとして、会社として約束してはいけない納期や価格を断定することがある。だから「未確認の納期を断定しない」「価格交渉には回答しない」「確認が必要な項目を箇条書きにする」といった制約を入れる。
これはAIを疑うというより、会社を守るための安全柵である。制約条件は、AIと人間が安心して働くためのルールになる。
06経営者が決めるべき制約
現場担当者が毎回制約を考えるのは負担が大きい。会社として、顧客対応、見積、社内文書、採用、クレーム対応ごとに、使ってよい制約テンプレートを作るとよい。
そして、そのテンプレートの最終責任者は経営者である。何をAIに言わせないのか。どこから人間確認に戻すのか。ここを決める仕事はVol.04のテーマ、経営者自身の再設計へつながる。
