月刊AI
VOL.03
COLUMN / PROMPT BASICS 03

プロンプトの作法 第3回
制約条件の設計

第1回は「指示と委任」、第2回は「具体例の力」を扱った。第3回は、AIに自由を与えすぎず、縛りすぎもしないための制約条件を考える。

EDITORIAL DESKREADING TIME 6 MINSERIAL
プロンプトの制約条件をカードで整理するデスク
制約条件はAIを縛るものではなく、仕事の目的に出力を近づけるための設計である
制約は、AIの自由を狭めるためではなく、仕事に合わせるためにある文字数形式口調読者LENGTH / FORMAT / TONE / AUDIENCE
制約を入れるほど、AIの出力は確認しやすくなる
Serial ConnectionVol.01では「何を頼み、何を任せるか」を整理した。Vol.02では「例を見せる」ことで出力を安定させた。Vol.03では、AIと働く人が共通して使える制約の設計を扱う。

AIに「いい感じに書いて」と頼むと、AIはそれらしい文章を返す。しかし、仕事で使う文章は「それらしい」だけでは足りない。文字数、形式、口調、対象読者が合っていなければ、結局人間が大きく直すことになる。

01制約はなぜ精度を上げるのか

制約とは、AIに対する条件である。「300字以内」「箇条書き」「丁寧だが硬すぎない」「AI初心者の社長向け」のように、出力の形を先に決める。

AI初心者ほど、制約を入れるとAIの自由がなくなると考えがちだ。しかし実務では逆である。制約があるほど、AIは何を優先すべきか判断しやすくなり、人間も確認しやすくなる。

024つの制約軸

文字数長すぎる文章を防ぎ、確認時間を減らす。
形式表、箇条書き、メール文など、使う場所に合わせる。
口調謝罪、提案、社内共有など、相手との距離を調整する。

4つ目は対象読者である。同じ内容でも、専門家向けとAI初心者向けでは説明の順番が違う。中小企業経営者向けなら、専門用語を先に出すより、業務の例から入る方が伝わりやすい。

03制約しすぎると創造性が死ぬ

制約は多ければよいわけではない。「300字以内、5項目、すべて20字以内、敬語、比喩禁止、専門用語禁止、結論から、読み手は60代経営者」のように詰め込みすぎると、AIは不自然な文章を作りやすい。

実務では、絶対条件と希望条件を分けるとよい。絶対条件は、文字数、禁止事項、対象読者。希望条件は、雰囲気、表現の柔らかさ、見出し案などである。

04ビジネス文書の例

Prompt Example

次の文章を、取引先へのメールとして整えてください。条件は、300字以内、丁寧だが過度にへりくだらない、納期は断定せず「確認中」とする、最後に担当者から再連絡する一文を入れる、です。

この例では、文章の目的、文字数、口調、言ってはいけないこと、最後に入れる内容が決まっている。AIは自由に書いているように見えて、実際には仕事で使う枠の中で書いている。

05顧客対応の例

顧客対応では、制約が特に重要である。AIは親切に答えようとして、会社として約束してはいけない納期や価格を断定することがある。だから「未確認の納期を断定しない」「価格交渉には回答しない」「確認が必要な項目を箇条書きにする」といった制約を入れる。

これはAIを疑うというより、会社を守るための安全柵である。制約条件は、AIと人間が安心して働くためのルールになる。

06経営者が決めるべき制約

現場担当者が毎回制約を考えるのは負担が大きい。会社として、顧客対応、見積、社内文書、採用、クレーム対応ごとに、使ってよい制約テンプレートを作るとよい。

そして、そのテンプレートの最終責任者は経営者である。何をAIに言わせないのか。どこから人間確認に戻すのか。ここを決める仕事はVol.04のテーマ、経営者自身の再設計へつながる。

Sources / 参考資料
  1. NIST, AI Risk Management Framework
  2. Microsoft, 2025 Work Trend Index Annual Report
  3. IPA, DX動向2025
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